福祉と文化 コンサートで紡ぐ地域の絆
特定非営利活動法人 やまびこ

活動地
天理市 
概要
障害者福祉 障害者と共に生き生きとしたコミュニティづくり
取材日
2009年6月14日
天理市

● なぜチャリティーコンサート?


 障害者白書には『健常者、障害者、高齢者を問わず共に生活しやすい社会を目指す』とあります。

NPO法人やまびこの活動は、『障害者と健常者が共に充実した時間を共有するチャリティーコンサートや「よさこいソーラン」の講習・発表会の開催等、広く社会に対して障害者福祉の啓発に関する事業を行い、障害者と健常者が共生する社会づくりに寄与することを目的としている』、とされています。

現実、統計データに依ると日本には約700万人の認定障害者がいて、総人口の約7%に相当。障害者、高齢者を弱者と捉え、人権を尊ぶ社会的要求が高まっています。6月14日、天理市民会館で「やまびこコンサート」が開かれると聞き、上田裕理事長にこのあたりのことを、お伺いするともに、コンサートの様子を見せていただきました。

弱者人権の法制度が整備され、その実行計画の下に、行政は事業展開しますが、現実に活動する人達が集まらないと実を結びません。上田さんは天理市役所に在職されていた時から、福祉関係の仕事に20年ほど従事されていたとの事。そのノウハウを生かし、退職後も市民の障害者人権の理解と豊かさを広め、高める市民活動を天理市中心に続けています。

何についても相談に行けば,まず聞いていただけて、適切なアドバイスを頂く事が出来る非常に人当たりの良い方で、さすが「やまびこ」の理事長と言う印象を受け、終始和やかな面談でした。

活動内容

やまびこコンサート会場 1200人が埋めたやまのべホール

やまびこコンサート

やまびこコンサートは第21回目、歴史のあるコンサートであることが分かります。例年の観客実績は1400名ほどだそうですが、今年は豚インフルエンザーの影響で少し空席が見られるものの、それでも大ホールはほぼ一杯、1200人の大盛況振りでした。

発足は、まず両親から、知的身障者であるわが子にコンサートの雰囲気を味あわせたいとの想いが集まり、21年間継続してこられました。最初は、雰囲気を味あわせる活動から、次第に自ら奏でると言う方向に活動が発展し、今では、コンサートを聴くことと、自らコンサートの一幕を担い、月に2度の練習を重ね、たる太鼓を演奏するに至っています。その他、一般の人も交じって「よさこいソーラン」の練習を月2回実施、様々なイベントで披露しています。 

みんなで助け合って広がる

コンサートは、近隣の中学、高等学校、保育園、一般有志の出演と、天理市障害者福祉団体連合会に属する7つの身障者福祉団体、天理市職員が支援、白梅寮の保育士を目指す学生さんは毎年30名程度ボランティアとして参加。出演者、支援者の人数は400名。障害者と健常者が一緒に参加できるコンサートがそこにはありました。 コンサートの中心は、天理高校の吹奏学部の皆さんの演奏で、一回目から参画と言う息の長い協力をされています。

和太鼓演奏 柳本保育園 天理高等学校吹奏楽部の演奏

天理市の職員の中には、手話の得意な方が居られ、コンサート会場での通訳を担当され、松浦実行委員長も天理市OB、ボランティアの皆さんが、OHP概要筆記、観客席の通路足元見守りや受付などフルに活動をされ、その手際良さは長年の経験から得られたものと思います。

活動費

 
模擬店とバザー

やまびこコンサートは午前の部、午後の部と別れ、会場には作業所の皆さんによる飲み物、食べ物の模擬店もあり、働く機会の創出と待ち時間の楽しい雰囲気づくりになっています。

活動資金は会費とチャリティーコンサート入場券販売の利益、さらにはプログラムへの広告収入で賄っています。







取材を終えて

取材移動途中、県の青少年・社会活動推進課職員は、「誰でも身体のハンディを背負う確率がある」と言われました。高齢となれば、健常者でも多くの人々が不自由を感じるようになるものです。

人は体だけでなく心が大事。障害者福祉基本法、障害者基本計画、重点施策実施五ヵ年計画はそのことを国民的合意として定められたもので、『障害の有無にかかわらず、国民誰もが互いに支えあい、共に生きる社会へのさらなる取組み』として、様々なことがなされています。

一例では、バリヤフリー・介助犬・盲導犬・ユニバーサルデザイン・公共トイレ仕様・視覚障害者誘導用ブロック・点字・福祉用具の標準化・オムニバスタウン構想・自立移動支援プロジェクト・字幕放送・グループホーム・ケアーホーム・手話・・などの実施策から、啓発・広報・生活支援・生活環境・教育・育成・雇用・就業・保健・医療・コミュニケーション・国際協力などの施策に至るまで実に広い範囲に及んでいます。

肝心なことは、身近にあって行動する人たちの存在が何より心強いということ。「やまびこ」はそのような一端を支援する人達の集まりでした。耳が聞こえなくても歌う、演奏を感じる、知的障害があっても踊ることは楽しいと、参加者は教えてくれました。チャリティーコンサートを通じ、出演した人、支えた人、観客で来てくれた人には、毎年何か新たな発見、感動、問題とその対策、等の「物語」が生まれると思います。やまびこの皆さんの活動が天理発の文化芸術活動として、末長く引き継がれることこそ、大きな意義をもつものと思います。



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