伝統文化の伝承と普及
特定非営利活動法人 奈良能

活動地
奈良市
概要
能楽を中心とする伝統芸能の伝承・普及・振興および海外文化交流
取材日
2009年7月22日

● 奈良能とは

7月22日、奈良市坊屋敷町にあるNPO法人奈良能の稽古場兼事務所で、石原理事長にお話を伺いました。
 
能楽をはじめとした伝統芸能の多くは奈良の地で発祥しました。奈良能は能楽を中心とする伝統芸能の普及・振興及び海外文化交流に関連するイベントの企画・運営を通して、伝統芸能文化の保存育成に貢献するNPO法人です。

主な活動として、なら燈花会能、東大寺慶讃能、一休寺能、桜井篝能、しまなみ海道薪能、新春わかくさ能等があります。また海外活動として、中国・北京大劇院、ロシアサハ共和国、フランス、台湾、シンガポール等での演能があります。

日本の古典芸能として世界無形文化遺産にも指定されている能楽。その身体芸能の表現の基本は「呼吸」にあると言われます。その起源は奈良時代にまで遡り、親しまれ発展し、今日さらに伝承されている能楽はさすがに大変奥深く、お聴きする程にその世界の魅力に引き込まれていきます。

取材中に始まった8月9日(日)奈良県新公会堂で開催される「なら燈花会能」に向けた謡の猛稽古は迫力満点でした。

活動内容

まず、見てください!

一般の方と能楽との接点は多くありません。伝統文化を守るためにはファン作りが大切です。一般の方向けに能楽の内容や楽しみ方をやさしく解説するワークショップセミナーを行っています。また、能「谷行」をオペラ仕立てして楽しんでいただくような催しも行っており、平城遷都1300年祭事業の中での再演を計画しています。
能楽の催しには無料ものが多々ありますので、少しでも興味のある方は一度参加して、能楽の楽しさを味わってください。(下記NPO法人奈良能のホームページを参考にしてください) しかし、能楽を楽しむには多少高額ですが、熟達した芸に接する事も大切ですと言われています。

海外文化交流活動

海外公演を通して各国との文化交流を行っています。言葉の壁の懸念はあったものの、能・狂言のしぐさがフランスのパントマイムやロシアのバレーと共通するところがあり公演はすべて満席。公演回数も予定を上回る盛況ぶりで、各国の異文化理解度の高さを実感させられた公演となりました。

モンゴル公演

伝統文化の継承活動

新しい時代の人にどう伝統文化を伝えていくかの活動も行っています。月ヶ瀬においては、子供たちに狂言の指導を行っています。

また、台湾では既に衰退した自国の伝統芸能を学生に理解させるために各国の伝統芸能を見せる取り組みをしています。その一環として能楽の公演を台北で行いました。公演後、どのようにして数百年の間、能楽が伝承されてきたのか等、5時間にも及ぶ質疑応答を行いました。伝統芸能復興にかける台湾の意気込みと一度衰退した伝統芸能の復興の難しさを感じる出来事でした。

能楽・狂言の起源は申楽(猿楽)です。狂言は登場人物のかたりが中心であり、物まねや演技による滑稽の芸として発展したのに対し、能楽は舞や謡の要素を強め伝統芸能として確立されたものです。

取材前、能楽は堅苦しく難しいものとの印象を持っておりましたが、お話を伺う中で一度見たいなと思うようになりました。能楽の催しには有料のものと無料のものがあります。能楽に興味のある方は演能予定や能楽の初歩講座等が掲載されている「NPO法人奈良能」のホームページ  (http://narano.exblog.jp/)をご覧ください。

奈良県新公会堂 奈良燈花会能の様子

取材を終えて

奈良時代に起源を持ち、神社、武家の支持を得て発展してきた能楽。舞、謡い、囃子の3つの要素それぞれに「気」が満ちています。

『動かないのもひとつの表現』『数歩で千里飛ぶことを表現する』『体の向きを変えることで場面が変わったことを表現する』など、舞による表現は奥深いものがあります。また、身動きに面、装束が加わり、演じても毎回同じではなく、まさに「花」のようにその瞬間を演じ切ると言われています。

謡いは心地良い音感の七五調文言と抑揚。声明や詩吟とも通じるかと思われる節まわしで、呼吸が整えられ、雑念が抑えられて、気持ちが安定します。武士に愛好されたという能楽は、そのような精神面に訴求する芸術として今なお新鮮であり、「禅」と同様、むしろ、自分を見失いがちな現代にこそ見直されるべきものなのでしょう。

自己の流派(金春流)にこだわらず、その他の流派であっても積極的に演能を手がけることにより、県内だけではなく、県外、海外にその魅力を伝え、能楽全体を広めようとする姿勢を感じました。 家系は春日大社の能奉行職にあったという石原理事長をはじめとする奈良能の皆さんは、自らその稽古に努める一方、演能の企画運営を通じ、関係者の芸を磨くことと普及に大変なご努力をされている様子が伺えました。



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