登録有形文化財藤岡家から広げる地域文化の再生
特定非営利活動法人 うちのの館

活動地
五條市 
概要
登録有形文化財藤岡家から広げる地域文化の再生 
取材日
2009年9月4日

    そこはかつて五條の庄屋でした

五條市近内町 JR北宇智駅

9月4日、関西2府4県で唯一スイッチバックが行われていたという、今は無人駅のJR北宇智駅から西、金剛山の東麓登山口(五條市近内町)にある登録有形文化財 「藤岡家住宅」内の茶房で、NPO法人うちのの館の田中修司理事長、川村優理学芸員にお話しを伺いました。かって、近内は南大和と大阪との交通の入り口であった とこころで、その当時の藤岡家当主は「大坂屋長兵衛」と名乗っていたのだそうです。

五條市観光案内パンフレット 藤岡 玉骨

万葉集に見られる地名「宇智の大野」、風光明媚な高台にあるこの地に、当時の庄屋の家が修復されました。藤岡家は両替商、質屋、薬種商、紺屋なども営んだ江戸時代 から続いた庄屋。そこに生まれ育った藤岡長和の人柄や、五條という場所の歴史の重みを感じさせられる藤岡家住宅でした。訪れた人々をきっと魅了するに違いありません。


藤岡家住宅の間取り図


取材に先立ち、川村さんの案内で藤岡家住宅を見学させて頂きました。藤岡家住宅には母屋、内蔵、薬医門等合計10件の登録有形文化財があります。それぞれの場所に 藤岡家所蔵の美術資料、文化資料、民族資料等が展示されています。

入館料は大人300円と手ごろで、入館者グループごとに案内ガイドがつき、藤岡家住宅や展示品等について、約30分で一通り説明をして頂けます。来館者は月平均1,000人で、 この日も数組のグループとすれ違いました。




活動内容

文化財を守るのはNPOとボランティア

藤岡家住宅と、田中さんの出会いは村おこしの一環として、天誅組(幕末に尊王攘夷派の志士たちで構成された武装集団で明治維新のさきがけとなった。 天誅組(http://www.tenchugumi.jp/about.html)の検証をしていたところ、藤岡邸に資料があると聴き調査を開始。 結局、天誅組の資料は数少なかったものの貴重な文化財等が多数あることがわかり、平成13年から藤岡家住宅復元の話が始まりました。

天誅組の出陣図 (水郡睦子氏蔵 写真提供:五條市教育委員会)

平成17年に現当主藤岡宇太郎氏は当時、修復後五條市に寄付するつもりでしたが、NPO法人うちのの館が平成18年3月からの復元工事開始に合わせて、 藤岡家住宅を維持管理、運営する目的で設立されました。復元工事が完成し、平成20年11月に開館しました。現在、役員12名、事務局2名、職員5名と サポーター会員家守(やもり)倶楽部約50名が、文化財を活きた形で使いながら保存してほしいという現藤岡家当主の意向に沿った形で維持管理されてい ます。

魅力は創るもの

NPOの活動としては藤岡家住宅の管理と案内ですが、毎月1回の食事会(第4金曜日)のほか、月1~2回のイベントを実施しています。これまで行ってきた主なイベントは 樹齢250年の長兵衛梅と盆梅展、享保雛を展示した藤岡家ひな祭り及び武者人形展、大茶会、NHK万葉ラブストーリー撮影支援等です。ライトアップイベント雅楽と鈴虫の 夕べや観月会琴の調べなど、支援者を増やすために魅力のある季節ごとのイベントを次々と企画、実行されています。
一方、先々代の藤岡家当主長和氏(雅号:玉骨)は内務官僚、知事等を歴任する傍ら、俳句を通して与謝野鉄幹・晶子夫妻、高浜虚子等との親交が深く、直筆の短冊や手紙等の 多くの文学資料が残されています。与謝野晶子ファンにとっては一見の価値絶大です。 

「花鳥屏風」(江戸時代後期)

また、登録有形文化財である大広間や貴賓の間が低料金で利用できます。これまで俳句会、お茶会、お食事会等に利用されています。 取材に際し、沢山の写真を撮らせ ていただきましたが、NPO法人うちのの館のホームページの内容にはとても及びません。ホームページをぜひご覧ください。
ホームページ(http://www.uchinono-yakata.com/)には、興味深く、楽しい情報が満載です。この他にも、紹介DVDの製作、 TV取材や月刊雑誌の特集記事協力、隔月にNPOニュース「うちのの館通信」、藤岡家住宅のサポーター会員用ニュース「THE YAMORI CLAB」をきっちり発行され、広報の大切 さをご理解されています。


課題や今後の計画

お宝の眠る内蔵入り口

藤岡家住宅には襖絵や掛け軸、菊と葵の御紋が入った調度品等展示品の中にも未解明の文化財が多数あります。また、まだ日の目を見ていない美術品や文学資料等が 数多く眠っています。NPO法人うちのの館では文化・芸術・美術品等に専門知識のある方や古文書や什器備品の修理・保存・管理等の知識を持った方の支援を求めています。 是非あなたも文化財探求という冒険の旅に出てみませんか。




このように多数の文化財を有する藤岡家住宅を100年200年維持管理していきたいとおっしゃる田中さん。しかし、継続して人材を育成する仕組みづくり、財政基盤確立のため の護持会員・篤志家募集や収益の上がる仕組みづくり、小中高校生はじめとしたファン拡大を目指す広報活動等課題がいっぱいあります。

まずは2年以内に採算の取れる経営を実現するための組織や会員特典等の新しいアイデアも検討されています。これらの施策が軌道に乗り100年200年後にもたくさんの 人々が藤岡家住宅を訪れていることを期待します。

取材を終えて

昔日の庄屋としてのたたずまい、その環境が輩出した藤岡長和氏の、明治から昭和の文学界を代表する、そうそうたる人たちとの交流資料など、まさに宝の山が埋もれてい ます。これを掘り起こす作業とともに、単なる博物館としてではなく、「宇智の大野」の風光の中で、活きた文化交流の場として活用、運営しようとする姿勢には、社長職 を後継者に譲られても、長年経験されてきた田中さんの経営者としてのノウハウが如何なく発揮されています。宝の山が眠っていると気付き、宝を磨く「魅力創り」、家を 守る活動をとおしての会員相互のコミュニケーション、各種イベントや近隣のレストランとの提携による料理の提供などの「楽しさ創り」、五條市新町塾、天誅組保存会、奈良県俳句協会や多くのマスコミとの「横の連携」、「語り部」としての学芸員やガイドの存在、充実したホームページの随時更新など、元気な活動をされていました。
  



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