もてなしの心で高取土佐街なみの歴史と文化を後世に
特定非営利活動法人 住民の力

活動地
高市郡高取町
概要
土佐街なみ・町家を活かした観光振興・地域交流及び環境保全・形成事業
取材日
2010年12月14日
土佐街なみ案内
土佐街なみ案内

町家から武家屋敷そして日本一の山城・高取城址へと5kmの一本道で形成されている全国でも例のない旧城下町の景観が残る土佐街なみ。その土佐街なみ沿いにある事務所でNPO法人住民の力の野村理事長にお話を伺いました。

江戸時代、西国第六番札所壺坂寺へ通じる土佐街なみは行き交う人々で溢れ、街道の両脇には油屋、鋳物屋、呉服屋など500棟もの商家がひしめき合っていました。明治以降も薬の街として、薬草の栽培や製薬に従事する人々や、全国各地へ大和売薬を販売して回る人々で大いに賑わっていました。また吉野木材の通路にもなっており、昭和35年には約500戸の民家があり7割が商店でした。しかし、土佐街なみのある高取町は現在、最盛期には1万人を超えていた人口が7,700人を下回り、高齢化率も30%を超えています。それに伴い町家や武家屋敷など城下町の景観も徐々に失われて来ました。

天の川計画
天の川計画

この歴史文化の薫る高取土佐街なみに嘗ての賑わいを取り戻し、現在残っている城下町の景観を守り、次の世代へ着実に継承していくことが高取町に暮らす者の重要な責務との想いより、平成15年8月に高取町観光ボランティアガイドの会、平成18年1月に天の川実行委員会が設立されました。NPO法人住民の力は天の川実行委員会の活動をバックアップし、活動の信頼度を更に上げる目的で平成20年6月に設立されました。

天の川実行委員会の活動の主役はシニア住民です。『旧城下町の景観』というハード資産を背景に、おもてなしの心を持つシニア住民が主役となって、観光で訪れたお客様との心の交流を通して、住民の健康や生きがいを育み、経済的にも安心して暮らせる地域づくりを目指して活動しています。 また、活動に際してはシニア住民がこれまで培ってきた財産である経験・知恵・人的ネットワークや地域への想いなどを原動力に行政に頼らない自立した住民活動を目指し、行政に何かを求める前に、住民一人一人が地域に何ができるかを考え実践しています。『天の川』の名称は土佐街道を天の川に見立て、住民一人一人が天の川の星になって光り輝こうという思いから命名されました。『近き者説(よろこ)び、遠き者来(きた)る』

活動内容

土佐街なみを光り輝かせる天の川計画

1.四季折々のイベントの開催

天の川実行委員会では通年型観光交流地域づくりを目指し、3月に町家の雛めぐり、5月に端午の節句まつり、7月15日~8月15日風鈴と七夕まつり、11月に町家の案山子巡りなど、四季折々のイベントを開催しています。イベントの開催期間はすべて1ヵ月間です。

天段の雛(メイン会場) 各家に飾られたお雛様 お客様と住民の心の交流
天段の雛(メイン会場) 各家に飾られたお雛様 お客様と住民の心の交流

最初に始めた町家の雛めぐりはメイン会場や各家に飾られたお雛様を見ながら観光客とおもてなしの心を持った住民とが心を通わせるイベントです。2007年3月の第1回は観光客が8,151人、雛人形を飾る家が36軒、運営に参加するシニア住民が延べ420人でした。観光客の評判も上々で、回を重ねるごとに観光客(第2回は25,710人、第3回は38,281人) や地元の参加者が増え、今年の第4回は観光客が49,100人、雛人形を飾る家が90軒、運営に参加するシニア住民が延べ3,988人となりました。

更にイベントで観光客の方から街なみを褒めてもらうことで土佐街なみの景観保全への意識が高まり、住民が自主的に家を修景(注釈:街なみの景観を守るためのリフォーム)する動きが活発になりました。また、観光客との心の交流を通じて、シニア住民が持っているおもてなしの心や経験・知恵が認められ、自分が『役立っている、必要とされている』ことを実感できたことも地元のシニア住民にとって大きな収穫となっています。

     
二十四の瞳(案山子編) CGで復元された高取城の写真
二十四の瞳(案山子編) CGで復元された高取城の写真

その他のイベントとして、2009年から始めた町家の家紋入り暖簾と風鈴巡りや町家の案山子巡りがあり、第1回の観光客はそれぞれ1,767名、6,183名でした。町家の雛めぐり同様、これらのイベントも回を重ねるごとに観光客が増加することを期待します。 また、奈良産業大学の学生ボランティアの方と協働して、日本一の山城『高取城』をCG(コンピュータグラフィック)で再現しました。その映像は奈良産業大の高取城CG再現プロジェクト(http://www.nara_su.ac.jp/archives/takatori/)や高取町ボランティアガイド(http://www.takatori-guide.net/takatori_cg_project.html)などのホームページから見ることができます。

2.まちづくり拠点施設整備ファンドによる支援

このファンドはまちづくり団体への支援を目的に2008年7月に設置されました。これまで、まちづくり団体が空き家を修景して、①街なみトイレの設置、②物産販売所の設置、③ギャラリーの開設などを資金面で支援しています。2009年10月から月替わりでこのギャラリーにて『木の抱き人形作品展』『奈良工房作品展』『一筆画 彩遊び』などを開催しています。2009年10月~2010年9月までの1年間で来館者数は34,554人となっています。2014年12月までスケジュールは決まっています。

手作りのおもてなし

手作り古墳前での野村理事長
手作り古墳前での野村理事長

事務所ビルの裏に手作りのキトラ古墳復元石室と高松塚古墳復元石室があり、それぞれの石室内の壁に天文図、日輪・月輪、四神、男女の群像、十二支が再現されています。
描かれている絵の向く方向が異なっていることより、キトラ古墳の壁画は被葬者の魂を安らかに昇天させる昇天図、高松塚古墳の壁画は被葬者の魂を外へ連れ出そうと誘っている出行図であることや造られた年代、大きさなどについて詳しい説明を野村理事長より受けました。
実際の古墳を見るよりも解りやすく、おもてなしの心の一端に触れた感じがしました。




イベント成功の秘訣は

小説『坂の上の雲』をプロジェクト推進のノウハウが詰まった参考書とおっしゃる元証券マンの野村理事長。最大のイベントである町家のひな巡りの運営において、訪れた観光客の人数、観光客への感想の聞き取りやアンケート調査で収集した情報などを分析し、次回のイベント運営の参考にされています。その成果が観光客の増加(2007年:8,151人、2010年:49,100人)や観光客の消費の増加(2007年:1,600万円、2010年:6,900万円)などに現れています。2010年、町家のひな巡りを訪れた観光客のプロフィールについて、50歳以上の女性が80%、口コミによる観光客が40%、リピーターが58%という分析結果でした。この結果をもとに来年3月どのようなイベントが催されるか楽しみです。皆様も一度足を運んで、地元の方のおもてなしの心に触れてみませんか。

ページの先頭へ戻る