生活できるNPOを目指して
特定非営利活動法人 大和まほろばNPOセンター

活動地
県内全域
概要
協働型地域社会の創造を担う人材の発掘や育成とネットワーク化による住みやすい地域づくり
取材日
2010年1月26日
まちづくり国際交流センター

江戸時代の街なみが残ることで有名な今井町。その近くにある (社)まちづくり国際交流センター(橿原市)に事務所を置く、奈良県で最初に設立されたNPOを支援する組織である、特定非営利活動法人 大和まほろばNPOセンター事務局長の吉田浩巳さんを訪ねました。

歴史と伝統の残る大和三山の麓、橿原市に事務局を構え、21世紀のまちづくりを創造することを目的として、県内のNPOやボランティア団体をサポートするため、2001年に誕生しました。設立当時は、まだまだNPOという言葉すら知らない方が多く、「ボランティアなのになぜお金を取るの」という質問に答えることからのスタートとなりました。

● 法人設立の思い

バーンズ氏から吉田さんに研修終了証の授与

吉田さんは元市役所の職員でした。社会を変えたいとの強い思いを抱き、1998年に退職して、その2年後に独立行政法人国際交流基金の予算で米国メリーランド州のNPOセンター、Maryland Association of NPO (MANO)で約半年間NPOのマネージメントについて研修を受けてきました。

そこで、米国と日本のNPOの実態に大きな差のあることを痛感しました。文化の相違が底流にあるにせよ、「公」まかせの体質を改め、行動する市民となることの重要性と、それを実現する資金の流れをつくることの必要性を確信したのでした。

帰国後、NPO先進国といわれる米国のNPOセンターのような組織(一般には中間支援組織と言われたりします)を作っていこうという提案が、橿原青年会議所、橿原商工会議所青年部、(社)まちづくり国際交流センターの仲間達からありました。勉強会を重ねるうち、橿原青年会議所が中心となって、NPOという素晴らしいツールの活用と支援を通じて、よりよい社会作りをしていくことを目標に、大和まほろばNPOセンターが設立されました。

● NPO支援組織としての草分け的存在

設立記念(2001年)NPOフォーラム開催 制度提案書(2004年)

活動を始めた頃、47市町村(当時)のすべての市町村長に会って、NPOセンターの役割などを説明しました。

この時、NPOとPKO(国連平和維持活動)とを同じものと理解している方も少なからずいました。

一方、当時の県知事がNPOに強い関心を持たれ、県庁内でNPO研究のためのワーキンググループを設置することとなりました。

奈良NPO大学講座と銘打って、県庁の様々な部署の方やNPOの代表らを講師に4年間、毎月講座を開催しました。

このような経験の下に、吉田さんは次のような活動をされています。

  • 講演会や勉強会を通じて、「NPOとは何か」の理解を広めています。
  • 県や市町村での各種行政委員としての立場からの政策提言をしています。
  • 日本NPO学会に参画し、NPOの事業力と従事者の生活向上に取り組んでいます。

活動内容

大和まほろばNPOセンターはこのような活動をしています。

  • 団体と団体を結ぶコーディネート(エコフェスタ)
  • NPO団体の広報支援活動(イベントのチラシを県内の主要公民館に無料配布)
  • 国際交流や環境をはじめとする市民活動団体が主催する事業の後援及び共催
  • 県内主要公民館で、世代間交流事業をさまざまなNPOと一緒に40回実施(独立行政法人福祉医療機構平成21年度助成事業)
  • 各種相談業務(NPOの設立、会計、助成金相談など)
  • 情報提供業務

また使用している広報ツールも様々です。(※ MLはメーリングリスト)

  • 全国NPO支援センターのML/日本NPO学会のML/近畿環境市民活動相互支援センター(エコネット近畿)のML
  • NPOタイムズの発行
  • ホームページ

● 他団体との協働

米国はノンプロフィットカンパニーが存在し、経営ありきの発想です。日本のNPOもプロ化しないと継続的な活動ができません。活動資金調達の一環として、セブンイレブン等と一緒に助成金セミナーを共催しました。

現状では会計報告書様式が統一されていない上、バランスシートの見方さえ知らない人がいるので、基準を定めることが大切です。この為、近畿の支援センターと一緒にNPO法人の会計基準策定プロジェクトを展開しています。

この他、「エコフェスタ2009 in まはろば」を33団体と共に、「橿原夢の森フェスティバル」(事務局:橿原青年会議所)は広域の市町村と一緒に多くのNPOやボランティア団体と一緒に実行委員会を作り実施しました。

助成金セミナー 会計基準策定プロジェクト エコフェスタ 夢の森フェスティバル

● 先進的な姿

会費、寄付金、助成金が主な収入源ですが、財政状況は大変厳しく、受託事業の終了と同時に有給の専従職員を持てなくなった今では、数名の事務局のボランティア専従スタッフで事業運営されていますが、先進的なNPOの例として「きょうとNPOセンター」を挙げられました。

『京都で活動するNPOへの支援をはじめ、市民社会のさらなる発展を目指して、事業(プロジェクト)型の活動を展開しています。「したい」を「かたち」にしながら、市民が自立性を持ってゆるやかに連帯し、主体的に参画できる社会を築きます。社会のニーズに応え、新たな「公共」と新たな「地域圏」を提唱していきます。NPOからCSO(Civil Society Organization=市民社会組織)を目指します。』と活動説明があります。事業型活動成果が市民の共感を生み、寄付を募る動きが見られ、他府県でも同様の問題意識の下に目指す方向は同じです。

2000年当時、吉田さんが訪れたメリーランド州では、NPOに従事する人は全就労人口の約10%を占めていること、従事者は世間相応の報酬を得ていること、その収益源は、独自事業で52%、公共委託事業で44%、寄付が4%という状況で、社会の仕組みが全く異なると、吉田さんは研修報告書の中で説明されています。このような地域社会事業が成り立てば、日本でも生活環境の近くに新たな雇用が創出できるものと思われます。

● 今後の夢と目指すこと

以上を踏まえ、NPOのさらなる自立とプロとしての事業展開からNPOに資金が流れるシステムの構築を行うこと、行政職員及び市民に「NPO」という言葉の正確な理解が得られるように積極的に働き掛けることです。

NPO法が施行されて10年以上が経過しましたが、当初の思いのような大きなうねりには至っていません。一つの大きな要因は、NPOにお金の流れるシステムが日本にないことです。NPOは素晴らしい地域づくりのツールの一つであり、これらを育てていくことが必要であると思います。同時に、どこに寄付をしたらよいのか、どこと一緒に事業を展開したらよいのか等、信頼できるNPOの基準作りの必要性が増してきていると感じています。NPO先進国といわれる米国では、「NPOの素晴らしさの基準」というのがメリーランド州を皮切りに全米で広がりを見せています。日本においても米国と連携をとりながら進めていきたいと考えています。

これからの社会において、市民セクターの担う役割がますます重要になります。NPOを市民セクターとして確立していくことは、行政セクター、企業セクターに対して、独立した社会的存在の第3セクターとして確立して行くことにほかなりません。また、行政や企業とともに問題意識に目覚めた市民が、ゆるやかにネットワークしながら、変化に対応していけるNPOの存在が必要不可欠です。

NPO活動は継続していけばいくほど、活動が盛んになればなるほど一個の団体として、出来得る事の限界に突き当たったり、多くの悩みを抱えているのが現状です。そんな中、お互いに悩みを相談し合えたり、お互いの知恵を出して助け合っていければ、より素晴らしい活動を継続していけます。

そのためにも「大和まほろばNPOセンター」は、新しい公共を実現する政策提言の市民参加プラットフォームとしての市民キャビネット」や日本NPO学会等とも連携しつつ、政策提言とNPOがしっかりとした活動基盤を築くまでサポートし、情報交換の場を提供し、行政や企業との橋渡し役を果たすことを目指します。私たち市民は、NPOという素晴らしいツールを通すなどして、私たちが行政に対してできることを積極的に提言し、まちづくりに参画していこうではありませんか。と吉田さんは話しを結ばれました。

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